STREAMフォーマット解析結果

Index

• 概要
  • ストリームの構造単位について
• データ構造
  • ヘッダ部
  • セル構造
• エレメント
  • PATH
  • BOUNDARY
  • TEXT
  • NODE（使用方法不明）
  • BOX（使用方法不明）
  • SREF（セル引用）
  • AREF（アレイセル引用）
  • プロパティ
• 各フラグの詳細（分かったものだけ）
  • PRESENT -- TEXTのフォントと原点の指定
  • STRANS -- 図形のミラー反転の有無，拡大や回転の形式を表す．
  • ELFLAGS -- 不明
  • 浮動小数点数
  • データの向きの指定
• GDS2レコード一覧
• 参考文献

概要

• レイアウトデータの共通フォーマットとして広く用いられているGDS2ストリームフォーマットについて、
• CADENCEのrdgdsの解析と実際のGDS2データの解析結果を基に、SIIのSX9000のフォーマットと対比させて まとめた
  • この成果に基づき、 gds2ライブラリを作成

ストリームの構造単位について

• STREAMは基本的に以下の単位構造の繰り返しになっている．

データ長(2byte)：データ種別(1byte)：データ型(1byte)：データ部(可変長)

• データ長はこの単位構造全体のバイト長を示す.
• データ種別はこのデータの意味を表わす．
• データ型は以下のようにデータ部の形式を示す。

• データ部はデータ種別により長さが異なり，無いときもある．
• データ長は常に偶数になる．(アライメントの関係？)
• 例えば，layer,datatypeデータは2byte長¹、座標値は4byte長のデータとなる。

• データは、big endianの並びであることに注意。

データ構造

• GDS2ファイル全体の構造は、ヘッダ部とセル構造の並びから成る
• セル構造は、１個以上、複数持つことが可能

ヘッダ部

• ヘッダ部は、バージョン名，ライブラリ名，フォントライブラリやUNIT値を定義する。

        VERSION         →（0,3:Ver3、4:Ver4、5:Ver5、600(0x258):Ver6.0）
        BGNLIB
        (LIBDIRSIZE)    →使用方法不明（SXでは未使用）
        (SRFNAME)       →参照ライブラリ名？（それぞれ44byte、SXでは未使用）
        (LIBSECUR)      →（SXでは未使用）
        LIBNAME
        (REFLIBS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (FONTS)         →フォント名（44byte×4）、SXが生成するGDSにはあるが、省略可能?
        (ATTRTABLE)     →アトリビュートファイル名？（MAX44byte、SXでは未使用）
        (GENERATE)      →生成したプログラムのversion?（SXでは未使用）
        UNITS           →最小unitのデータ上での値と、メートル単位での実際上の値（例：1E-3, 1E-9 →最小グリッド0.001umの場合）
          :
        セル構造
          :
        ENDLIB

セル構造

• セル構造はセル名とエレメントの並びからなる．
• セル引用によって，階層的な構造をとることが出来る．

          BGNSTR
          STRNAME
          (STRCLASS)      →使用方法不明（SXでは未使用）
            :
          エレメント
          (PROPATTR PROPVALUE) ... →エレメントのプロパティ（複数可能）
            :
          ENDSTR
  

エレメント

• エレメント形式を示すデータから始まり，ENDELで終わる．
• パラメータの順番が決まっているかどうかは不明．

PATH

        PATH
        (ELFLAGS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (PLEX)          →使用方法不明（SXでは未使用）
        LAYER
        DTYPE
        (PATHTYPE)      →0:突出し無し、1:丸突出し、2:半幅突出し、4:可変突出し
        (WIDTH)         →線幅
        (BGNEXTN)       →pathtype4の始端点突き出し量
        (ENDEXTN)       →pathtype4の終端点突き出し量
        XY              →頂点数分
        ENDEL

BOUNDARY

        BOUNDARY
        (ELFLAGS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (PLEX)          →使用方法不明（SXでは未使用）
        LAYER
        DTYPE
        XY              →頂点数分
        ENDEL

TEXT

        TEXT
        (ELFLAGS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (PLEX)          →使用方法不明（SXでは未使用）
        LAYER
        TTYPE
        PRESENT
        (PATHTYPE)      →SXの生成するGDSには無いし、本来は全く不要だが、
        (WIDTH)         →付加されているデータが存在する！
        (STRANS (MAG) (ANGLE))
        XY              →1点
        STRING          →文字列
        ENDEL

• TEXTは、PATHTYPEとWIDTH属性を持つことが出来る。実際に付加されているデータを見たことがある。
• TEXTの線幅を指定するものかもしれないが、TEXTの大きさの属性が無いのであまり意味がない気がする。

NODE（使用方法不明）

        NODE
        (ELFLAGS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (PLEX)          →使用方法不明（SXでは未使用）
        LAYER
        NODETYPE
        XY              →1〜50点（詳細不明）
        ENDEL

BOX（使用方法不明）

        BOX
        (ELFLAGS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (PLEX)          →使用方法不明（SXでは未使用）
        LAYER
        BOXTYPE
        XY              →5点（詳細不明）
        ENDEL

SREF（セル引用）

        SREF
        (ELFLAGS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (PLEX)          →使用方法不明（SXでは未使用）
        SNAME
        (STRANS (MAG) (ANGLE))
        XY              →1点
        ENDEL

AREF（アレイセル引用）

        AREF
        (ELFLAGS)       →使用方法不明（SXでは未使用）
        (PLEX)          →使用方法不明（SXでは未使用）
        SNAME
        (STRANS (MAG) (ANGLE))
        COLROW
        XY              →3点（原点，列方向のピッチ×個数位置の点，行方向も同様）
        ENDEL

• アレイのピッチやCOLROWの方向は、セルの反転・回転によって変化する。言い替えるとセルのFマークのXY方向が基準となる。
• 訂正：アレイのCOLROWの方向は、単純にXYの方向で決まるようだ。なんで勘違いしたんだろう²。。（160605追記）
  

プロパティ

• SXでは論理情報と呼ばれているもので、ENDELの前に番号と文字列を対にして付加する。
• １つの番号に対して１文字列だが、番号を変えて複数付加することも可能。
• CR（OD）コードで表示上で改行させることが出来る。

        PROPATTR 番号（1〜256?）
        PROPVAL 文字列

各フラグの詳細（分かったものだけ）

PRESENT -- TEXTのフォントと原点の指定

• hjust: 0:Left , 1:Center , 2:Right
• vjust: 0:Top , 1:Middle , 2:Bottom
• font : 0〜3

• 原点の位置

STRANS -- 図形のミラー反転の有無，拡大や回転の形式を表す．

• refl : 0:NoMirror , 1:Mirror
• mag : 0:Absolute , 1:Relative
• ang : 0:Absolute , 1:Relative

ELFLAGS -- 不明

• extn : 0:no extn , 1:extn
• tmpl : 0:no tmpl , 1:tmpl

浮動小数点数

• GDS2の実数値は，8wordで表される．（eclipse形式）

• 最初のwordは最上位bitが符号（0が正、1が負）を表し、残りの7bit（0〜127）が指数部（-64〜63）を表している．
• 続く7word分が仮数部で，最初のwordの最上位bitがMSB,最後のwordの最下位bitがLSBである．
  • （MSBが2の-1乗で0.5,LSBが2の-56乗で約1.3877788e-17）
• 浮動小数点数は符号.仮数部×基底数の指数部乗で表され，基底数は16なので、GDS2で表される実数値は以下のようになる．

          ± （仮数部×２の-56乗） × （16の（指数部-64）乗）
  

• 参考として，以下にeclipse形式の浮動少数点数を読みだすプログラムを示す．

        double ecreal(arg)
        unsigned char arg[8];
        {
          int sign, exp, i; double  dv, mg;
          sign = arg[0] >> 7; sign=((sign==0)?1:-1);
          exp = (arg[0] & 127) - 64;
          mg = 0; dv = 256.0;
          for (i=1;i<=7;i++){ mg += ((double)arg[i])/dv; dv*=256; }
          return(sign * pow(16,exp) * mg);
        }

データの向きの指定

• STRANSのreflフラグとANGLEの値によって以下のように向きを指定出来る．
• SREF,AREF,TEXT等で指定される．

• 参考として以下にSXとの対応を示す。
• GDS2は上下ミラー反転してから回転するのに対して、
• SXでは回転させてから多種のミラー反転することに注意。³

GDS2レコード一覧

• The_GDSII_Stream_Formatより

参考文献

• CADENCE社作成のGDS2ダンププログラム rdgdsのソースコード→秦氏が発見、このコードが無ければ、解析は出来なかっただろう
• rdgds.c
• The_GDSII_Stream_Format →021218に発見、pathtype4の解析に役立った、GDSIIの仕様がほぼ完全に理解出来る
• gdsii_format.txt
• EBハンドリングフォーマット→021227に郡司氏発見、NEOフォーマット自体の素性は不明だが、GDS2の詳しい解説が日本語で入っており参考になる
• NEO(Next_generation_EB_Oriented_Data_Format)
• All_About_Calma's_GDSII_Stream_Format