ＳＰ２ＳＰの解析

Index

• 概要
• 解析手順
  • サンプルデータの作成
• ネットリストへの変換
• spiceシミュレーション
• gwaveの起動
  • 解析結果
• プログラムの構成
• データ構造
  • ヘッダー部分
  • データ部分
  • SpiceStream
• データの読み方
• データの詳細

概要

• gwave(Freeの波形SpiceViewer)を改良しようとしたが困難だったので、
• ヘッダー部分だけを解析して、それをもとに新しいviewerを作ろうと考えた。
• Avanwaveは機能的には充分だがライセンス料が高く導入は厳しい。
• gwaveの良い点・・・hspiceのバイナリのデータを直接よめる。
• gwaveの悪い点・・・目盛りが無い、sweepに対応していない。

解析手順

サンプルデータの作成

• PowerViewでinverterのみ入ったサンプルを作った。
• (inverterが最も単純で解析しやすい回路であったため)

• inverterの中身(こちらもPowerViewからもってきた)

ネットリストへの変換

• spicelinkを使ってネットリストを作成した。→inverter.cirができた。(.cirは回路ネットリストの拡張子)

* Project INVERTER
* Powerview Wirelist Created with Version 6.1
* Inifile   : wspice.ini
* Options   : -m -f -n 
* Levels    : 
* 

M101P01  X   A   VDD  VDD PMOST L=1.00U W=3.98U AD=9.11P AS=5.97P PD=8.56U 
+ PS=6.98U
M101N01  X   A   0    0 NMOST L=1.00U W=2.38U AD=5.45P AS=3.57P PD=6.96U 
+ PS=5.38U

* DICTIONARY 1
* GND = 0

*SPICElinkで作成したネットリストに以下のものを追加

VDD VDD 0 DC 5→VDD電源の定義(ノードVDD,0の間に5VのDC電源を定義する)
VIN1 A 0 PULSE( 0 5 10NS 2NS 2NS 20NS 40NS)→VIN1電源の定義(ノードA,0の間にパルス電源を定義する)
.TRAN 1NS 100NS SWEEP TEMP 25 75 25→過渡解析を1NSから100NSまで行う(温度を25度,50度,75度で振る)

.lib     '/home/libdata/hspice/para2/b500h.0.2.typ.par' TT→ライブラリの取り込み
.include '/home/libdata/hspice/para2/b500h.bjt.0.0.par'


.OPTIONS INGOLD=2 CSDF=2 POST→ポストデータのフォーマットを作る

.END

spiceシミュレーション

• hsコマンドでシミュレーションをかける。
• inverter.tr0ができる。

gwaveの起動

• gwaveはsweepパラメータに対応していないので温度を固定したものを例として挙げる。

• gwaveの問題点
• メモリが無い
• おそらくsweepに対応していない

解析結果

• サンプルデータを元にsp2spの解析開始

• ヘッダー部分の詳細

プログラムの構成

• ss_open
• hspiceのファイルをopenしてSpiceStreamを生成する。
• ss_open_internal
• フォーマットから使う関数を調べて(hspiceの場合sf_rdhdr_hspice)呼び出す。
• sf_rdhdr_hspice
• 先頭がコントロールコードならバイナリーとして読む。
  • sf_rdhdr_hsbin
  • バイナリー形式のhspiceヘッダーを読む。
  • sf_readrowにsf_readrow_hsbinをセットする。
  • まず"$&%#"が出てくるまで読む。その後バージョンをチェックして
    • sf_read block_hsbin
    • hhブロックとahdrブロックを読む。
    • 実際に読んだバイト数を戻り値になる。
    • bufsizeはbufに入ったバイト数(読んだ数より大きくなることがある)。
    • hs_process_header
    • ahdr+256の位置からhstypeを読んで次にivar,dvar,svarの名前を読む。
    • SpiceStreamを生成する。
      • ss_new
      • SpiceStreamの生成(filename,ndv,nsweepparamを設定する）。
• parse_field_numbers
• parse_field_names
• ascii_header_output
• ヘッダー部分の表示。
• ss_var_name
• バッファにvarの名前を戻す。
• ascii_data_output
• 1行分のデータを表示する。
• ss_readrow
• 1行分読む。(sf->readrowに入っているコマンドを実行する。
• asciiデータの場合はsf_readrow_hsascii
• 、バイナリデータの場合はsf_readrow_hsbinを実行。）
  • sf_readrow_hsbin(バイナリ形式のhsデータを一行だけ読む。）
  • ivarとdvarを読む。ivar>=1.0e29ならば終わり。
    • sf_readsweep_hsbin
      • sf_getval_hsbin(バイナリ形式のhsデータを一個だけ読む。）
      • sf->read_valsを1つ増やす.
    • sf_getval_hsbin(バイナリ形式のhsデータを一個だけ読む。）
    • sf->read_valsを1つ増やす.
    • sweepparamについては評価データで無効になっているので解析されていない。
    • ivar（iはindependenceで独立の意味）→独立変数(他のことに影響されない)
    • dvarが変化することによってivarも変化する。

データ構造

ヘッダー部分

• hs_block header
• h1 (4byte)　→４になる（0x4000000の場合はリトルエンディアン）
• h2 (4byte)
• h3 (4byte)　→４になる（0x4000000の場合はリトルエンディアン）
• block_nbytes (4byte) →ahdrのbyte数

• リトルエンディアン→小さな桁から書き出していく。4321とあったらそれは1234(千二百三十四)。
• ビッグエンディアン→大きな桁から書き出す。4321とあったらそれは4321(四千三百二十一)こちらが一般に生活の中で使用されている。

• ahdr(asciiheader)
• naut (4byte)→ivar＋dvarの数
• nprobe (4byte)→proveの数?(不明)
• nsweepparam (4byte)→sweepさせるパラメータの数。
• ???? (4byte)
• Postformatversion (4byte)
• ???? (156byte)
• ntable? (80byte)
• ivar_type(ASCII数値、空白orTABorCR区切り)
• dvar(ndv)_type*ndv (ndv=nauto-1+nprove)(ASCII数値、空白orTABorCR区切り)
• ivar_name(ASCII文字列、空白orTABorCR区切り)(16byte?)
• dvar(ndv)_name(ASCII文字列、空白orTABorCR区切り)(16byte?)
• spar(nsweepparam)_name(ASCII文字列、空白orTABorCR区切り)(16byte?)
• "$&%#"+空白4つ(8byte)
• trailer (4byte) →ahdrのbyte数（block_nbytesと同じ)

データ部分

• hs_block header
• h1 (4byte)　→４になる（0x4000000の場合はリトルエンディアン）
• h2 (4byte)
• h3 (4byte)　→４になる（0x4000000の場合はリトルエンディアン）
• block_nbytes (4byte) →ahdrのbyte数(sf->expected_valsに入れる。)
• data (block_nbytes byte)
• pvar (4byte) sweepパラメータの値。sweepしない時は無い。
• ivar (4byte) ivarとdvarはデータ数の分だけ繰り返す。
• dvar(ncols) (4byte*ncols)
• trailer (4byte) →ahdrのbyte数（block_nbytesと同じ)

SpiceStream

• SpiceStreamとはsp2spのプログラム内でのSpiceのデータを読み込んだもの

struct _SpiceStream {
        char *filename;
        int filetype;
        int ndv;        /* number of dependent variables */
        int ncols;      /* number of columns of data readrow will fill in */
        SpiceVar *ivar; /* ptr to independent-variable info */
        SpiceVar *dvar; /* ptr to array of dependent variable info */
        SpiceVar *spar; /* ptr to array of sweep parameter info */

        SSReadRow readrow;  /* func to read one row of data points */
        SSReadSweep readsweep;  /* func to read one row of data points */
        int ntables;    /* number of data tables in the file */
        int nsweepparam; /* number of sweep parameter values at the start of each table */

        /* the following stuff is for private use of reader routines */
        FILE *fp;
        int flags;
        int lineno;
        char *linebuf;
        int line_length;
        int lbufsize;
        int expected_vals;
        int read_vals;
        int read_rows;
        int read_tables;
        int read_sweepparam;
        char *linep;
};

データの読み方

• ① バイナリデータかアスキーデータかをみわける。
• 先頭がバイナリコードならバイナリデータ、アスキーコードならアスキーデータ。

• ② エンディアンを調べる。
• sf_readblock_hsbinからhhを読む。
• h1とh3が0x04000000ならリトルエンディアン、
  • 0x00000004ならビックエンディアン。

• ③ block_nbyteの数だけahdrを読む。
• trailerとblock_nbytesの値が同じかを確認。
• "$&%#"が無ければ3番を繰り返す。(hhとahdrが複数あるものがある？)

• ④ 各パラメータの数を読む。
• nauto、nprove、nsweepparamを読む。
• nauto=データの数(ivar+dvar)。
• nprove=？の数。(何の数かは不明)
• nsweepparam=sweepパラメータの数。

• ⑤ フォーマットのバージョンをチェック。
• ahdr+16にあるフォーマットを読む。これが9007か9601であることを確認。
  • それ以外の数はエラーとなる。

• ⑥ データタイプをもとめる。(nautoの数だけ繰り返す)
• ahdr+256を読む。hstypeにivarとdvarのデータタイプが書いてあるので読む。
  • ivar type 　1　=　TIME　　 2　=　FREQUNCY　　 3　=　VOLTAGE
  • dvar type 　1・2　=　VOLTAGE　　 8・15・22　=CURRENT
    • これらのどのタイプかを調べる。
• ivar typeがFREQUENCYでdvarの数がnauto-1より小さい場合は
  • カラムが2個。(複数のカラムを持つものがある？)

• ⑦ ivar、dvar、sweepparamの名前を読む。
• nauto+nprove+nsweepparamの数だけ読む。
  • ivar=TIME、dvar=0、a、vdd、x、I(vdd)、I(vin1)
  • nsweepparam=TEMPERATURE(今回の名前。その時々によって変化。)

• ⑧ バイナリデータかアスキーデータかをみわける。(１と同じ)
• 先頭がバイナリコードならバイナリデータ、アスキーコードならアスキーデータ。

• ⑨ エンディアンを調べる。(２と同じ)
• sf_readblock_hsbinからhhを読む。
• h1とh3が0x04000000ならリトルエンディアン
  • 0x00000004ならビックエンディアン。

• ⑩ block_nbyteの数だけデータブロックを読む。

• sweepパラメータの値を読む。(データブロックの一番最初)
• trailerとblock_nbytesの値が同じかを確認。
• nautoの数(7つ)分ずつ繰り返してデータを読む。

• ⑪ sweepした分データブロックがあるのでデータのファイルが終わるまで⑧，⑨，⑩を繰り返す。
• データブロックの個数は読み終わらないとわからない。

データの詳細